想像とは違う若い頃・・・
幸せな生活が一転
ハンニバル・レクターは裕福な家庭に生まれ、優しい両親と妹ミーシャに囲まれた幸せな生活を送っています。しかし第二次世界大戦が始まると一家は巻き込まれ両親を失います。レクターはミーシャと共に廃屋に隠れますが、そこにも野郎崩れの兵士達が。更に腹を空かせた男たちにミーシャが食われました。
無事逃げおおせたレクターは戦争孤児となります。そして叔父を頼りますが既に死去しており、妻であるレディ・ムラサキに出会います。彼女はレクターを引取り、自国由来の武道や文化を教えていきます。この日は買い物の出先で、ムラサキが屈辱的な扱いを受けました。その男にレクターは密かに恐ろしい仕返しを実行するのでした・・・
あれ・・・日本文化・・・?
日本人設定のレディ・ムラサキの登場と、想像以上にメイン張ってたのにびっくり。これは元の設定でレクターは高名な画家と従妹という文献があり、日本通で2番目の妻が日本人(名前違うけどね)なので良しとします。しかしまさか師匠になり、覚醒のきっかけであり、さらに・・・になるとは・・・面白い!
礼儀作法と武術、お茶に掛け軸とレクターは僕より日本に詳しいのではないでしょうか。文化の悪用としてカニバリズムへの目覚めに「悪い奴はさらし首」が使われ、しかも頬肉は取られているというオリジナリティも出してきました。レクターの背景に日本文化が関わっているとは、何となく責任を感じてしまいます(そんな感傷いらないか)。
未熟なハンニバル・レクター
本作ではまだ「食人鬼」というよりも「殺人鬼」。幼少に理性が奪われ、青年期で怪物へと変貌していく様子が伺える作品。「時代が悪かった」としてもあまりに大きなトラウマを持ち、払拭するために復讐とカニバリズムに目覚めたレクターは肯定はできませんが、否定もできない存在です。「失礼な奴だけ」狙う理由もわかりましたよ。
背景にあったのは壮絶で凄惨な過去ですが原作を読まずに映画・ドラマだけで見ると、ドラマ版ハンニバルや羊たちの沈黙とは様相が違います。知的で思考が読めない、完璧な人間で疑われない食人鬼にはまだまだ遠い若い頃でした。この作品を観ていると、羊たちの沈黙でクラリスが気に入られたのは「妹の影」を見たからかな・・・なんて思い更けてしまいました。
コメント も、文句以外で・・・