ハートフルな実話です
5つ星ホテルで働きたい!
先天性の病気のため、10代で突然視覚の95%を失ったサリー。彼には5つ星ホテルで働くという夢があり、成績も優秀で周囲からの期待を集めていました。しかし現実は厳しく、ホテルへの就職は困難を極めます。諦めきれないサリーは視覚障害を隠してミュンヘンの最高級5つ星ホテルで見習いを始めるのでした。
ホテルの面接で出会ったマックス。一緒の班で行動したために視力の事がバレてしまいますが、マックスは誰に話すこともなく協力し始めます。サリーは持ち前の勤勉さと実直な性格で信用を積んでいきます。ある日配送係のラウアという女性と出会い恋に落ちました。調子よく交際を始めますが視覚の事は隠しているため、行き違いが多くなります。更に研修でも問題が起こり始め、希望と現実の差を思い知らされるのでした。
社会的風刺も盛り込まれた実話ベース
モデルはインド・ドイツのハーフ、サリヤ・カハヴァッテ。網膜剥離で視力がほとんどない状態ですが、なんと15年間ホテルに隠していたとか。実際にマックスのような存在がおり、協力があったのかもしれません。ホテル勤めの後は料理教室を開いたり、映画化を機に公園や執筆をされています。
実話ならではの社会的な問題がさらっと盛り込まれており、例えば厨房で働くスタッフの一人が元外科医で、経験も十分にあるが病院で勤めれないという「移民の就職問題」が描かれます。国への紹介等がないと正規就職は困難という実情を語っていました。さらにサリーが落ち込んだ時に簡単に手に入る「ドラッグ」。実刑のないドイツであまりにも簡単に手に入る事の問題も盛り込まれていました。
明るく前進する姿が男前
サリーは視覚のせいで度重なる障害と相対することになります。しかし明るく楽しい仲間達と乗り越えていきます。社会風刺がありながらも重くなり過ぎず、コメディとして笑いながら進むストーリーに感情移入していまい、サリー役コスティア・ウルマンが益々男前に見えて来る作品でした。
仲間がいれば乗り越えられる、というストーリーの中にも目標に向かう大変さと面白さ、更にプロ意識や雇用する側の思惑など、”会社・組織・職務”という点も描かれています。こう書いてみると”重めの設定”が多く見えるのですが、作品自体はハートフルコメディで時折”クスッ”とさせてきます。重さと軽さの絶妙なバランスの「5パーセントの奇跡」に大満足です。
⇑ 悩みながらも仕事を続ける・・・夢は叶うのか・・・こちらも実話
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