こういう政治家も1人ぐらいならOK
イタリア最大野党書記長の苦悩
全国大会の舞台で中年女性に「言葉が出ないのは何も語る事が無いからよ」と、強く辛辣な言葉を投げかけられているのはイタリア最大与党書記長エンリコ・オリヴェーリ。世論調査では党の支持が低迷しており、エンリコ自身の評価も下がっていました。そして党大会の帰り側近のアンドレアに「元気で」と声を掛けます。そしてそのままエンリコは姿を消すのでした。
アンドレアはエンリコの失踪について党の幹部に「数日入院することになった」と嘘をつき、エンリコを探します。そしてジョバンニという双子の兄弟がいる事を知り、居場所を聞くためにアパートを訪れたアンドレアはジョバンニがエンリコと瓜二つな顔だったことに驚きます。そこでこのジョバンニに”替え玉”の依頼をするのですが、しかしこの男は“狂人”と呼ばれるほど破天荒な人物。この替え玉が吉と出るか凶と出るかは神のみぞ知ることです。
2010年代のモンティ政権が背景
2013年製作のこの作品は2011年に財政危機に陥った責任を取り、ベルルスコーニ首相が辞任。その後に首相となったモンティによって年金改革・資産税や解雇規制の緩和などが行われた、という時代背景をテーマにしています。結果的に1年後に大きく財政の健全化がれ国際的に高い評価を受けました。では何故この作品のように国内が荒れているのか・・・
それは年金支給開始年齢の引き上げや税金増を始め、政策のほとんどが”国民に強い痛み”を与える内容が原因でした。そして国民支持率低下、改革批判やボイコットが繰り返される暗黒の時代へと陥ってしまいます。国民は野党側にも問題ありとし、政治全体に対する不信が広がっているという時期の作品になります。
ローマに消えた男 [DVD]
中身がなくても熱いメッセージ
シリアスパートが多いのですが、ブラックユーモアに溢れた作品。ジョバンニの答弁には”熱”があります。しかし話の内容には中身がありません。聴衆に”何言ってるかよくわからないが、何かしてくれる人だ”と感じさせる話し方でした。”狂人”というより陽気なおじちゃんが政治家っぽい事を言ってるというコメディ。大笑いはできませんが、味のある面白さがあります。
主演トニ・セルヴェッロの1人2役ですが、暗いエンリコと陽気なジョバンニを表情で人分けできる彼はやはり名優。劇団挙がりの表現力は流石の一言。あとは街並みの美しさとイタリア文化の奔放さは日本にないものでした。何もない50代おっさんに言い寄る20代(30代なのかな?)女性とか夢のある国ですよね。ストーリーは重すぎず、最後まで引き込まれるイタリアンコメディでした。
⇑ こちらも国営の問題点をコメディ風味に皮肉ってます
コメント も、文句以外で・・・