自閉症ケアに求められるのは”資格”と”許可”?
自閉症の子供や青少年をケアする団体”正義の声”を運営しているブリュノ・アロシュ。今日は駅員からの連絡を受け、非常ベルを鳴らした自閉症の青年ジョゼフ・デュボアの身柄を引き受けに走ります。到着するとジョゼフは数名で取り押さえられており困惑中。ブリュノが駅員に説明し、身柄を引き受け自宅まで送り届けます。
次に向かうのは緊急医療センター。重度自閉症のヴァランタンは自障癖があり、6か所もの施設で受け入れを拒否されているという相談。ブリュノはヴァランタンの一時外泊を請け負います。そんな”正義の声”に”無許可運営”で”スタッフが無資格者”という告発があり、監査が入ることになります。この団体に認可は降りるのか・・・それとも解散となるのか・・・
見放された”自閉症”
発達障害の1つで社会性・対人関係の構築、行動や興味の偏りと執着といった症状があります。独特な自己世界に籠っているため、共感・共有が難しく行動も一貫性に欠けています。独りで生活するには簡素化されたタイムスケジュール表等が必要で、起きる・職場に向かう・食事・お風呂等を時間で指示する必要があります。
高齢者住宅に入居されるケースも増えています。僕の体験上でも部屋の至る所に”タイムスケジュール”が置かれ、ヘルパー達が行動を確認しています。しかしあくまで軽度のケース。重度の方は”住宅”では中々お受けできません。親も当人も高齢になる現実がありますが、支援策は限られているのが現実。そんな中僕はこの”正義の声”は一つの希望に見えました。
資格と許可がなければ違法
資格を持つ事が”適切で安全な運営に必須”とし、そういった人材を基準に許可をだしている政府ですが、実際は資格を持ち許可を受けていても困難事例は拒否します。100人に1人は自閉症有という世の中なので、軽度な症状者を受け入れるだけでも”運営”できる人数が確保できます。そういう現実を隠すことなく見せる本作は苦しくて暖かい作品でした。
実話ベースという事で勿論お涙頂戴です。苦悩して奔走する大人達が心救われる瞬間は”子供達の笑顔”。常に笑顔を求める教員達には胸が詰まるほど感動しました。教員役のヴァンサン・カッセルとレダ・カテブの両名は本当に名優。”構想はあるが脚本はない”と説明され、2名はそれぞれ団体を体験させられた後に撮影を開始したという俳優泣かせな作品。こんな無茶に応えながら作ったと考えると圧巻の出来でした。
コメント も、文句以外で・・・