眩しい生き方をしたキホーテ
映画から飛び出たドン・キホーテ
スペインでドン・キホーテを題材にしたCM撮影を行っている監督トビー。実はトビーは10年ほど昔の学生時代に、「ドン・キホーテを殺した男」という映画を撮っていました。そんな初々しい作品を横目に、すっかり擦れてしまったトビーはボスの妻ジャッキとの関係がばれてしまいます。
そしてバイクで逃げだしたトビーは昔映画のロケ地になった村を訪れます。そこには「ドン・キホーテはこちら」という看板が置かれていました。興味を持ったトビーは看板の主である女性にお金を支払い、とある”小屋”に通されます。そして中には以前ドン・キホーテ役をしてもらった靴職人のハビエルがいました。なんと彼は映画を撮った日からずっと”自分はドン・キホーテ”と信じ込んでいたのでした。更にトビーを”サンチョ”と呼び、小屋から脱出。400年の時を超えて新たな”ドン・キホーテの物語”が幕を開けるのでした。
キホーテのように”装備”から入ろう!
”ロシナンテ”はロバじゃない
風車が”巨人”に見え、羊の群れが敵の軍勢に見える。そんな”憂い顔の騎士ドン・キホーテ”の原作を現代版として作られた本作。どこかの貴族にからかわれ、とある騎士との一騎打ち、まだ見ぬ姫に忠誠を誓うキホーテの活躍はまさに小説から飛び出てきた”本物”でした。ハビエル(キホーテ)役であるジョナサン・プライスはハマり過ぎですね。
原作のドン・キホーテは最後に夢から覚めたように騎士道を否定しながら亡くなります。純粋で情熱的な騎士の最後としては物悲しいものでした。夢想ながらも騎士道精神に溢れた前編と悲哀に満ちた悲しい結末の後編。この原作を上手く現代版にし2時間以内にまとめている本作は名作。そして大事な話になるのですが、”ロシナンテは痩せ馬”です。”ロバ”はサンチョが連れている”ルシオ”の方なので、この際覚えておいてあげてください。
全力で生きた”ドン・キホーテ・デ・ラ・マンチャ”
真っすぐ純粋なおじいちゃんドン・キホーテは重度の中二病です。キホーテは小説”騎士道物語”が面白過ぎたがゆえに中二病という大病を拗らせてしまいました。周囲からは避けられたり見世物にされたりと、辛い一面もありますが本人は清廉で真剣に生き(架空)ました。
逞しく心強い”騎士”に憧れ、本当の騎士になったキホーテの存在は僕の目にかっこ良く映っています。”誰か”ではなく”自分で”決めた生き方を貫く姿は、本当の意味で幸せに見えました。まあ晩年は後悔していましたがね・・・。構想から30年を要したテリーギリアムのドン・キホーテは原作リスペクトが伝わる素晴らしい作品でした。
⇑ 原作通りならフランス版シティーハンターもやばい!
コメント も、文句以外で・・・