気持ちはわかる・・・
ロベルト・デュランの軌跡
パナマに住むロベルト・デュランは学費が払えず学校に行けない少年。お金を稼ぐ手段は大人達が子供同士の喧嘩で行う”賭博”。独学のボクシングで勝利するデュランにボクシングジムのプロモが興味を持ちます。そしてプロモは本格的にデュランにボクシングを教え始め、デュランも”勝ったらアイスクリーム”という約束に飛びつき連勝していきます。
1971年、勝ち続けるデュランに大富豪カルロス・エレタが援助します。そこで紹介されたのはレイ・アーセルという初老の男。彼は17年前にボクシング興行に力を入れていましたが、その事でニューヨークマフィアから目を付けられ、暴行を受けました。それからボクシングに関わっていないのですが、このデュランの素質に惹かれトレーナーに着きます。デュランのプロの世界でチャンピオンを目指す戦いが始まったのです。
”ノーマス事件”を少し理解できた作品
デュランはパナマの英雄と、当時の大統領も認めていた人物です。「デュランの日」という主日(現在廃止)も出来ている程の彼が起こした大騒動”ノー・マス(もういい)事件”。それはシュガー・レイ・レナードとの再戦で起こした事件でした。劣勢な状況になったデュランが8回に試合放棄をしTKO負け。この時「ノー・マス」と言い放っていたというのが概要です。しかしそこにはデュランの葛藤がありました。
脚色つけられており、真実かどうかは別ですが本作においてはデュランの気持ちが理解できます。貧しい男が1代で大金を手にいれたのですから、腹いっぱい好きなモノ食べて遊びたいですよね。しかしボクシングとは”職業”であり、大金が動く際には本人の状態や意思とは関係なく段取りされるエンターテイメントでした。本作ではそういった背景がデュランの心を削っていき、結果試合中に折れてしまったという解釈がされています。
戦う理由はマネー?プライド?それとも・・・
”アイスクリームが食べたかった”という少年デュラン。その後はファイトマネーで裕福になりますが、本人は「アメリカの奴隷になってたまるか!」という飢えが常にありました。自分を被害者のように感じてしまう劣等感と向き合う事なく大人になってしまいます。感情のままに怒鳴り威嚇する姿に共感はなく、周囲からも人が去り始めます。デュランが本当に欲しかったモノ、そこに戦う理由があるのですが気付く事ができるのでしょうか。
皮肉とかなく、真っすぐストレートに感じの悪いデュラン。”学がない”という言葉そのままな存在で、そこには貧困問題が盛り込まれている様に受けました。実話ベースではありますが、かなり脚色ありなので本人は良い人と思われます。引退後はパナマの為に活動してますし・・・レイ・アーセル役がロバート・デ・ニーロという事で視聴しましたが、人の道を説くデ・ニーロも良いですね。「ゴッド・ファーザー」の印象が強すぎますが、この方出演のヒューマン作品はいぶし銀です。
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⇑ デ・ニーロ好きなら「マイ・インターン」もどうでしょう
コメント も、文句以外で・・・