中盤までが凄く好き
独り生活
誰も生きていない町の一軒家。侵入して電池や本等の物資を探っているのは唯一の生存者デル。物色し終えると玄関に×印を描き、そして室内のミイラ化した遺体を毛布でくるみ穴に埋めます。そして住まいである図書館へ帰り、本を棚へ戻すという”仕事”をして過ごしています。
デルは湖で船釣りをして魚を確保します。そしてゆったりディナーをしていると、突然夜空に花火が撃ちあがります。異変を感じながらも我関せずの姿勢で、翌日も変わらぬ生活に勤めます。しかしこの日、誰もいないはずのこの町に警報機が鳴り響きます。車が事故を起こしているのを発見したデル。慎重に車内を覗き込むとそこには意識を失った女性の姿が見えるのでした。
偏屈男の現代サバイバル
本作は天変地異ではなく、人間だけが死滅した状態です。なのでサバイバルする、というよりも物資調達を繰り返すことで”生活”ができています。確かに電気を確保さえできれば、通常の生活ができそうな世の中。周辺が山・川・森というシチュエーションより、むしろ現代的でリアル、そしてちょっと快適そうなサバイバルでした。
デルを演じるピーター・ディンクレイジはこういう偏屈が似合う男(褒めてる)。難しそうな表情と思慮深い眉間で他者を寄せ付けません。偏屈な印象のデルですが、周囲に誰もいないなら問題なく、むしろ優雅に見えるのが不思議です。他者から見た評価というのは、比べる相手がいなければ無意味なものでした。
常に孤独を感じていたからこそ生き伸びれた
”この世界にたった独り”、このフレーズに心折れませんか?しかしデルは「孤独を感じたのは町に1000人いた時の方だ。」と話しています。孤独という言葉も周囲に人がいてこそ成り立つもので、元より人と距離があるデルは現在の状況の方が生き易いようでした。ある意味”悪意のない世界”になっていますからね・・・
ハラハラドキドキすることなく淡々と進む序盤が妙に面白い。そして見知らぬ女性グレースの登場でかき乱されるデルも面白い。しかし、ここからの急展開にちょっとトーンダウンしてしまいました。普段はドンデンガエシとか急展開は好きなんですが、この作品はズルズル行って欲しかった。独特な雰囲気をもつ”こどせか”(略してみた)は”生き方の選択”を考えさせる作品でした。
⇑ 心折れる世界。ゾンビと孤独、どっちがいいですか?
コメント も、文句以外で・・・