ラッセル・クロウの表情変化がイイ!
利益主義な相続人
マックスはロンドンでトレーダーとして第一線に身を置いています。強引でグレーな手口を使い利益を挙げていますが、周囲も同じく利益優先な弱肉強食の世界です。そんなマックスに急遽、叔父のヘンリーが亡くなったと知らせが届きます。そこにはヘンリーが所有していたワイナリーの相続が記載されていました。
幼い頃は慕っていた叔父の訃報ですが、今は親交も途絶えていたためマックスは売却を決めます。そしてワイナリーの確認の為南フランスのプロヴァンスへ向かいます。粗方確認し、懐かしのワインを試飲すると、それは昔と同じく”飲めない程不味い”商品。帰ろうとするマックスですが、飛行機に乗り遅れたため、しばらくこのプロヴァンスで過ごすことになるのでした。
ワイナリーが素敵やん
ワイナリーとはワインを生産する建物・不動産、とかワイン製造に関わる事業を指しています。僕のイメージでは”ほとんど倉庫”だったのですが、実際は味の研究やビン詰めも行われていて、ブドウの品種改良から試飲までと、ワインに関わる工程が可能な面積全てのことでした。作中のヘンリーは邸宅兼ワイナリーという、お洒落さんです。
プロヴァンス地方はフランス南側地中海に面しており、水量が多いのでブドウの生産に適しています。そのため最高峰のワイン産地として有名です。まあ、作中のワインは”飲めない程不味い”という設定で、これは私的に好みです。水量が多くブドウが多い、レンガ作りの邸宅や周辺の村、どれを取っても時間が止まっているかのような美しい風景が観て取れます。
自然は何をもたらすのか
ロンドンの金融業で魂を削って他者を落とす、というギスギスした生活を送っているマックス。南プロヴァンスに来て時間の間隔が大きく違う世界に違和感を感じます。何もかも”完璧”を目指したマックスですが、プロヴァンスでは計画通りなんて言葉はありません。この不味いワインが出来るワイナリーでマックスは何を感じていくのでしょうか。
パッケージから恋愛映画と思いましたが、これは1人の男が環境によって変化していくというヒューマン・コメディでした。原作題名は”A Good Year(当たり年)”なのに登場ワインは不味いってセンスが良い。本作の見どころはギスギスした凶暴な男が、終盤には顔付きが変わっている、というラッセル・クロウの名演技にあります。強面が優面になる、その変化の工程がとても印象的で好きな作品です。
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