ちょっと怖い話・・・
SNSに陥る
女性精神科医ボーマンのカウンセリングを受けているクレール。ある出来事が元で精神を病んでおり、今回は新しいDrにかかっています。「同じ話をしなくてはしたくないわ。」と話すクレールにボーマンは「同じではないわ、視点を変えて考えることも大事なの。」と諭します。そして諦めたようにクレールは話し始めます。
50歳のクレールはシングルマザーで2人の子供がいます。年下の恋人リュドがいますが、リュドは同居している友人アレックスと共に姿を消します。連絡が付かない為クレールはSNSで24歳女性”クララ”と設定し、リュドの友人アレックスに友達申請を行います。すぐに了承しアレックスとチャットを始めますが、お互いに意気投合。2人は夢中になってしまいますが、クレールは自分ではない24歳クララとして会話しており更に嘘を重ねます。そしてとうとうアレックスから「会いたい。」と言われ始めるのでした。
顔が見えないのがメリット?
28歳のアレックスは、自分の写真を気に入ってくれた24歳女性クララに興味を持ちます。チャットで仲良くなりながらも、電話もしない顔見せもしないクララにミステリアスな魅力を感じ、そしてのめり込んでしまいます。しかしこれは”24歳の女性”という情報があってこその関係で、クレールの方はこの事を良く理解していました。
姿を見せるわけにはいけない恋愛は、ある意味淡く甘美なものでした。こういったバーチャル恋愛物は他にもありますが、今作はクレールの心情や挙動が本当にリアル。苦しい恋に喘ぐ姿は観る者に重くのしかかります。顔合わせしないからこそ上手くいく恋愛という、明るい結末を予感させないストーリーでした。
生きている実感があった
クレールの離婚に関する話しは中々に重苦しい。年下の男性リュドと付き合いますが、今度はリュドもよそよそしくなります。アレックスとの関りで「私は24歳の女性になったの。」と目を輝かせてボーマンに話すシーンを見て、応援するのか心配するのかに分かれるでしょう。後者である僕としてはこの女性は誰にも癒せない、と恐怖すら感じました。
アレックスに恋をしたというより、固執・執着したという作品で、こういった話って本当にありそうです。むしろ男性の方が下サバ読んでSNSが多いのでは・・・。この恋愛というモノは人類にとって”潤い”の役割を持っています。”誰からも相手にされない”、そんな時に強く傾倒してしまうのでしょう。潤いを求めた物語、特にラストにゾクッとさせられましたが、息苦しい程共感できる作品でもありました。
コメント も、文句以外で・・・