中二病は想像力の産物
クリスマス前にひと騒動の予感
クリスマスも近くなった頃、麻衣との交際でニヤける咲太の前に初恋の相手である牧之原翔子が現れます。しかし咲太の知る翔子は中学生、今目の前に現れた翔子は大人の姿をしています。なんでも彼女は”未来から”来たとかで、行く当てもないという事で咲太の家に転がりこもうとしています。それを知った麻衣は、もちろん咲太に冷たく接します。
翔子は重い心臓病を患っており、現在は病院にて過ごしています。しかし奇跡的にドナーが見つかり心臓移植を受け、大人になって未来からきたのが現在目の前にいる翔子。しかしこの状態”思春期症候群”には必ず何か理由があります。それはつまり、大人の翔子が咲太の前に現れたのには理由があることを意味しているのでした。
ちょっとややこしい
未来の翔子は現在の翔子に干渉できません。未来の翔子から見れば、ここは全て過去になり、ある程度未来が分かっています。しかし過去が大幅に変わってしまうとリスクがあるので限定的にしか話せません。そして更に翔子の想いも混じるので、事態はとてもややこしくなっています。
青ブタシリーズの思春期症候群というのはどれも理解しにくい症状。本作はタイムパラドックス物になりますが”過去から見れば今が未来”という言い回しが小難しく感じます。これは拗れてしまった表現に見えますが、この部分を理解していると登場人物の会話に惑わされないでしょう。そうして展開していくストーリーを見て思い知るのは、過去を変えると未来はどう変化するのか、それは”わからない”ということでした。
最善を尽くしても最高の結果という保証はない
未来翔子には目的があります。それは過去の清算でもあり、気たるべき未来の変革でもありました。しかし更に未来の出来事となる行動の結果は思ったモノとは違っていました。そして翔子は他者を巻き込んで苦しめてしまった、という風に思い込んでしまいます。大切な何かを護りたい、そんな思いが逆に働いたというエピソードにはハラハラしましたよ。
過去を変えるというのはある意味”誰もが夢みる体験”でもあります。出来るなら改ざんしておきたい過去なんて山ほどあります。しかしその反面、残しておきたい出来事も多いもの。このタイムパラドックス・リープ物は何を得て、そして何を失うのか、という取捨選択が見どころになります。本作も漏れず、登場人物一同がこの選択の中でもがき苦しみます。そして迎えるフィナーレでは全僕が号泣。このシリーズは心温めるくせに、過程が泣かせやがる・・・。
コメント も、文句以外で・・・