胸糞事件を暴いた記者に拍手
神父が児童に性的虐待
2001年7月、アメリカの新聞社ボストン・グローブの編集局長にユダヤ系のバロンが就任しました。新聞業界は”ネット”の影響を受け始めており、バロンは読者を掴むために大きなネタで勝負にでます。それはカトリック教の神父ゲーガンが、30年の間に80人もの信徒児童に性的虐待を加えたが無罪放免になった”ゲーガン事件”の再調査でした。
定期購読層にカトリックが多く社会的影響力の強い”教会”を敵に回す恐れのあるこの仕事、取材を任されたのはチーム”スポットライト”でした。しかし協力者はなく各弁護士も”守秘義務”とし情報を出しません。記者であるマイクはそんな隠蔽体質と嫌がらせに疲れています。そんな時虐待被害者の会サヴィアノが編集部に現われます。この訪問から調査が大きく動き始めるのですが・・・
ゲーガンは”氷山の一角”
本作は実話に基づいており、児童130人もの少年に性的虐待を強要したジョン・ゲーガンは実在の人物です。グローブ社が記事にした事で世界に動揺を与え・・・という事ではないようでした。以前から再々告発等行われており、その度に握りつぶされてきただけで、世間的には”周知の事実”だったようです。それでもこのグローブ社のおかげでカトリックも大きく動き始めます。
この公表を機に世界各国で少年虐待が発覚され調査されることになります。そこには何十年にも渡る虐待の歴史が存在していました。そして2010年教皇ベネディクト16世は”教会が全力を持って調査していく”ことを被害者の会に伝えます。責任者・該当者の処罰を行い、子供達を守るという約束をしています。しかし幾分巨大になりすぎた組織、末端まで調査が及ぶかは2020年を超えた今でも定かではないようです・・・
カトリック教会は大きな組織
”スポットライト”チームが調査に乗り出しますが、弁護士から協力が得られません。弁護士は”教会から監視され、弁護士資格をはく奪される恐れがある”と話しています。この部分でいかに教会の影響力が大きく広いのかが伺えました。更にゲーガン事件の公文書開示も教会の圧力によって差し止めされていると、国家並みの圧力が感じられます。宗教は怖い・・・
そんな巨悪の真実を暴けるのか、というよりも”公表できるのか?”が本作テーマ。メディアの役割である”真実”を求める者と、事を荒げたくない者で会社の意見も割れます。当時のタブーに切り込んだグローブ社は評価されるべき新聞社。こういった”真実を隠さない姿勢のメディア”は、ネット含めて虚実入り混じる現代社会では尚更必要な存在です。でも紙媒体の新聞は廃れてしまうんでしょうねえ・・・
⇑ マーク・ラファロは地味で味がある俳優
コメント も、文句以外で・・・