何が起こるかわからない人生
酒浸りになった小説家
西部小説の作家であるモンテ・ワイルドホーンは、妻を亡くしてから酒浸りの生活を送っていました。モンテを心配した甥のヘンリーは、夏の間だけミシガン州ベルアイルの家を借り休養させる事にします。嫌味と小言を言いながらもモンテは夏の借家に到着しました。
隣にはシャーロット・オニールと3人の娘が暮らしています。好奇心が強い次女フィンは、この車椅子の男モンテに興味を持ちます。そしてモンテが有名な作家と知るとフィンは、「物語の作り方を教えて。」と話しかけます。強い熱意でモンテを承諾させ、そしてフィンはモンテの作品”ジューバルの冒険”を購入します。しかし古本屋で購入した小説は最後のページが破かれていました。
モーガン・フリーマンだからこそ?全てが”粋”
登場から”頑固・偏屈”をイメージしていたモンテでしたが、全然柔和で周囲の人と上手くやっていきます。彼には小説家としての苦労と、妻を亡くしたショック、そして豊富な人生経験がありました。人の気持ちが分かる人間だったのです。だからこそ一つ一つの言葉が丁寧で染みるのです。
モンテ役はモーガン・フリーマンでド安定のヒューマン作品。彼の放つ言葉は”名言しか出てこないのかな?”と感じさせます。また高齢だからこそ行動・言動全てに、現代にない浪漫が見えます。隣人に呼ばれて持って行く手土産が「女性ばかりだから必要だと思ってね。」と姿鏡ですよ。できないよ!こんな洒落た事!
穏やかな瞬間は誰にでも訪れる
妻を亡くし酒浸りで麻痺を持つモンテですが、この夏の家で”理想”を感じます。言葉の通りそれは現実とは大きく違う、想像していなかった現象・状態です。どん底を繰り返し、希望を失ったモンテは目に見えない何かに救われていきます。これは高齢になる程伝わってくる、誰にでもある”この瞬間”が映像化された素敵な物語でした。
恐らく僕自身が今この状態。悪くない時間を過ごしています。ドン底に沈んで10年近く過ぎてから舞い降りて来るこの時間は何なのでしょう・・・。モンテと自分を照らし合わせてじっくり観入ってしまいました。”今”を諦めた人、これからを”期待できなくなっている”人、そして今安堵の時期が来ている人達に沁みる映画です。
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